一般廃棄物・専ら再生物とは?|廃棄物と有価物の違いについて
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さて、今回のテーマは一般廃棄物についてです。一般廃棄物についての基本的な理解は一般家庭から排出される廃棄物でいいのですが、廃棄物処理法で定められているのは一般廃棄物よりも産業廃棄物についてです。なので、産業廃棄物ではないものが一般廃棄物となっています。そのため、事務所など事業所から出るごみでも一部は一般廃棄物となることがあります。
廃棄物業界に勤めている者の一人として、産業廃棄物についてしっかりと理解してもらえるよう頑張ります。
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目次
一般廃棄物・専ら再生物とは?|廃棄物と有価物の違いについて
一般廃棄物とは?
一般廃棄物に対する基本的な理解は「一般家庭から排出される廃棄物」でOKです。しかし、事業所から出るごみでも一部については分類上一般廃棄物(事業系一般廃棄物)となることがあります。
これは廃棄物処理法が規定しているのが産業廃棄物に関するものがほとんどで、産業廃棄物以外の廃棄物を一般廃棄物とするという規定もあります。
そのため事務所の紙ごみなどはその性状からもそうですが、一般廃棄物という分類になります(紙くずには指定業種があるため、指定業種から排出された紙ごみでなければ産業廃棄物とはならないため)。このように事業所や工場など企業から排出される一般廃棄物を便宜上「事業系一般廃棄物」と呼んでいます。
廃棄物と有価物の違いは何?
一般廃棄物に関しての理解は、一般家庭から排出される廃棄物全てと、事務所などから出る紙ごみなどが該当するというぐらいで十分だと私は考えています。どちらかというと廃棄物と有価物の違いの方が注意した方がいい問題になるかもしれません。
廃棄物か有価物かを見分けるためのケーススタディと思考
廃掃法では廃棄物ではないものは有価物となります。以前の記事「産業廃棄物とは?|産業廃棄物の定義と廃棄物の種類について」でも紹介しているので下に引用します。
廃棄物は当然不要なものです。言い換えればお金を払ってでも処分したいものとなります。対して有価物とは必要なものとなります。こちらはお金を払ってでも手に入れたいものと考えることができます。
上述の考えははっきりしていて分かりやすいものですが、現実社会ではそう簡単にいかないこともあります。廃棄物業界では基本的にケースバイケースとなることが多く、その理由も少し知ってもらえるとありがたいです。
運搬料金と商品代金を差し引くと赤字になるケース
不法投棄の実例にもなっている話ですが、登場人物は下になります。
- A工場
- B運送
- C商社
A工場は生産した商品を500円でC商社に販売することにしました。ただ、A工場からC商社に商品を運ぶB運送の料金が1,000円かかってしまいます。こうなるとA工場は商品を売る度に赤字を計上してしまいます。A工場の収支は差引合計額でマイナスとなっていますから、これは廃棄物の処理を委託していることになるのではないか?ということです。
この場合、B運送、C商社共に廃棄物処理法違反となる場合がありますが、B運送に非はなくC商社が廃棄物処理法違反となる場合もあります。B運送とC商社が同じグループの会社(もしくは同じ会社)であった場合はB運送、C商社共に廃棄物処理法違反となります。しかし、B運送とC商社が全く別の会社であった場合はB運送に非はなくC商社が廃棄物処理法違反となります。
このケースでは、たとえA工場が500円で商品を販売していると主張しても、C商社に発送した時点でA工場の赤字が確定していますから、A工場は廃棄物をC商社に処理してもらっていることになります。そのため、C商社の廃棄物処理法違反は確定です。残った問題はB運送が運んでいた商品が廃棄物であったかどうかとなります。この答えは上述の通りで、同会社なら廃棄物の運搬となり違反、別会社なら商品の運搬となりセーフという判断が通例です。
廃棄物と有価物が混在しているケース
明らかに廃棄物であるものと、明らかに有価物であるものが混在しているケースは判断が分かれる場合がある難しい問題です。ドラマなどでよくある「大切な指輪orペンダントを恋敵に川に落とされてしまった場合」で考えてみます。ひとまず「大切な指輪orペンダントの価値は20万円」として「川は下水に変換」しておきます
すぐに川に飛び込めば指輪が拾えるので、恋敵にちょっかいを出された時点では廃棄物と有価物はすぐに分離できる状態と言えます。ただし、恋敵がしつこく邪魔をしてくるなどして川に大切な指輪orペンダントを探しに行く初動が遅れてしまった場合、「20万円相当の大切な指輪orペンダントと一定量の下水(大体100㎥程度)が混ざっている状態」になると考えられます。
分類する方法はたった一つ、下水を全て汲み取ってその中から大切な指輪orペンダントを探すことです。恋愛ドラマとかでよくある光景ですね。今回のケースの場合、大切な指輪orペンダントの価値によってやるべきかどうかが決まります。下水の量を100㎥としましたが、これを汲み取れるバキューム車は1車5万円程度はかかります、作業時間分の人件費もかかりますし、100㎥の下水を汲み取ると処分費もかかります、大体15円/kgぐらいになると思うので、10tバキューム10台で最低でも50万円、100㎥の下水の処分費用が約150万円なので、処分費が200万円程度はかかることになります。
とても20万円相当の大切な指輪orペンダントではまかなえません。これが300万円相当のダイヤや400万円相当のネックレスなどならやる価値があります。ただし、実際にそんな高価なものを川に捨てることができる恋敵がいたら、その強心臓に一番驚くと思います。
少し例えが長くなってしまいましたが、こういった廃棄物と有価物が混在しているケースの場合、総体として価値があると判断できれば有価物となります。
自社処理を行うケース(特に畜産農業の場合)
自社で処理を行うのみを目的とした施設でも、廃棄物の処理施設によっては行政の許可が必要にある場合があります。ただ、この自社処理の判断でも難しいのが堆肥の原料になる畜産糞尿です。畜産糞尿の場合は糞尿の処理を行ったのか、有価物の肥料として利用したのかが判断しにくいものになります。(畜産と農家が同一人物の場合)
意外とこういった例は多く、製剤所などの木くずボイラー、土木工事での汚泥状物質の盛土材としての利用など、判断に迷うケースも多いのです。
価値観の相違
骨董品などのコレクション・収集品は判断が難しいものになります。ヤフーオークションなどでも意外な商品が多数出品されていますが、この中には「ブリキのおもちゃ」などが壊れた状態で出品されていることもあります。しかもその「壊れたおもちゃ」に数万円の価格が付くことがあるのです。
上述の場合は取引の実態があったり、価格の相場を調べることもできるので比較的簡単に判断ができますが、価値観を悪用する例もあるので注意が必要です。廃タイヤや廃材などであっても、所有者が価値があるものだと主張する限り有価物と暫定的に判断せざるを得ません。
しかし、取引の実態がない=売れない場合は所有者の主張もむなしく廃棄物と判断されることになります。実際の判例では180日(約半年)の期間取引の実態がないものは有価物ではなく廃棄物と判断されるようです。
おまけ|もっぱら再生物について
廃掃法制定時の事情により、産業廃棄物であっても収集運搬や処分に許可を必要としないものがあります。これが「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者」すなわち専ら再生事業者のことです。「産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物収集運搬業の許可について」でも紹介していますが、再度説明します。
専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者は「専ら再生利用者」と呼ばれます。この専ら再生利用の目的となる産業廃棄物は「専ら4品目(再生4品目)」と呼ばれます。内容は下記の通りです。
- 古紙
- くず鉄
- あきびん類
- 古繊維
このように専ら4品目ができてしまった原因は、産業廃棄物処理法の施行当時、既に廃品回収といった業が存在していたのが原因です。さらに当時は廃品回収などで回収されていた再生4品目は有価物としての取引であることがほとんどでした。現在では処理費用がかかるようになる「逆有償」=有料での回収も行われていますが、この逆有償が発生してから専ら4品目は「廃棄物であっても許可が不要な品目」となってしまっています。
それでは今回はここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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