廃棄物処理法とは?|廃掃法・許可区分・違反と罰則について
みなさんこんばんは。
当サイトエコフリーの記事をご覧いただきありがとうございます。エコフリーは、産業廃棄物業界に就職したばかりの新入社員の方や、総務課に配属になり廃棄物を担当することになった人に向けた廃棄物を理解するための情報サイトです。
少しでも有益な情報をみなさんにお届けできるよう頑張っていきますのでよろしくお願いします。
さて、今回のテーマは廃棄物処理法についてです。廃棄物処理法というのはいわば略称で、正確には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。この法律は前述のように廃棄物処理法や廃掃法とも呼ばれています。廃棄物業界では廃掃法が一般的になります。前回の記事「産業廃棄物とは?|産業廃棄物の定義と廃棄物の種類について」で産業廃棄物と一般廃棄物の違いや、産業廃棄物の種類について説明していますが、これらの廃棄物の収集運搬や処分を委託する場合、必ずこの廃掃法が関わってきます。
廃棄物業界に勤めている者の一人として、産業廃棄物についてしっかりと理解してもらえるよう頑張ります。
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目次
廃棄物処理法とは?|廃掃法・許可区分・違反と罰則について
廃棄物処理法とは?|廃棄物の処理及び清掃に関する法律
廃棄物処理法や廃掃法と略称がついているこの法律ですが、正確には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。
廃棄物の収集運搬や処分にどうしても付いて回る不法投棄の問題や環境汚染への配慮のために作成された法律で、過去に何度も更新されている法律となっています。
一番みなさんに身近な廃掃法に関連する業務は「廃棄物の収集運搬や処分を委託する場合には書面で契約を結ばなければならない」ではないかと思います。
基本的に取引は自由なので、契約の形態については制限がありませんが、廃掃法ではこの自由に制限をかけていると考えると分かりやすいです。
廃棄物処理法で定められている廃棄物処理業許可区分について
廃棄物処理法では廃棄物の処理を業として行う際に許可が必要になると定めています。そして、業の許可についても細かく規定しています。排出事業者の担当者さんは、廃棄物の処理を委託する業者が適切な許可を行政から受けているかも確認しなくてはなりません。
基本的に廃棄物処理法で定められているのは産業廃棄物で、産業廃棄物とならないものが一般廃棄物という考え方をしています。また、産業廃棄物の許可と一般廃棄物の許可は別物となっています。車の免許を所持していれば原付には乗ることができますが、バイクにのることはできません。これと同じように産業廃棄物の業の許可を所持していても、一般廃棄物の業の許可を所持していることにはなりません。たとえ廃棄物の性状が似通っているものであっても、産業廃棄物と一般廃棄物は別物なのです。
廃棄物処理業許可について
廃棄物処理業許可は都道府県毎、政令指定都市毎に発行されます。許可に関しての特徴は下のようになっています。
- 一般廃棄物と産業廃棄物は別物なので、それぞれ許可が必要
- 廃棄物の収集運搬と処分では許可の種類が別
- 都道府県(政令指定都市)ごとに許可が必要
- 産業廃棄物は産業廃棄物の種類ごとに許可が必要
- 許可の期限は一律5年(更新は可能)
これらの特徴の中で少し分かりにくいのが産業廃棄物収集運搬の許可についてです。産業廃棄物の収集運搬を委託する場合、基本的には集荷場所と荷降ろし場所は違います。この集荷場所と荷降ろし場所が同一の都道府県内であった場合には委託業者に必要となる許可は該当の都道府県からの産業廃棄物収集運搬の許可のみとなります。
しかし、集荷場所と荷降ろし場所が別の都道府県となる場合には、委託業者は集荷場所に該当する都道府県からの産業廃棄物収集運搬の許可と、荷降ろし場所に該当する都道府県からの産業廃棄物収集運搬の許可の両方が必要になります。
仮に集荷場所と荷降ろし場所の都道府県が隣接していなくても、産業廃棄物の収集運搬の際に通過する都道府県からの許可は不要です。
もう1点収集運搬や処分を委託する際に見落としがちなのは、産業廃棄物の種類ごとに許可が必要になることです。産業廃棄物の種類は特別管理産業廃棄物を除けば20種類となっています。仮に日本全国全ての産業廃棄物の収集運搬を可能とするためには、47都道府県全てから、20種類全ての産業廃棄物の収集運搬において許可を受ける必要があります。
産業廃棄物の許可に関しては行政の審査も非常に厳しいものとなっていて、47都道府県全てにおいて産業廃棄物収集運搬の許可を受けることは非常に難しくなっています。この点が産業廃棄物収集運搬業者の大規模化がなかなか進まない理由にもなっています。
廃棄物処理法違反における罰則について
最近のニュースでカレーの外食チェーン店が出した廃棄品が市場に流通してしまったことがありますが、廃棄物処理法上は排出事業者、つまりカレーの外食チェーン店に非があると定められています。もちろん、廃棄品を売却して再流通させた廃棄物処理業者も悪いのですが、排出事業者は取引上優位になるので、コスト削減圧力など取引上の優位性を悪用した場合などは、廃棄物の処理が適正になされない可能性もあるという観点から、排出事業者の責任を重く設定しています。
具体的に罰則規定も見ておきましょう。
- 5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科
例)無許可の業者に処理を委託、不法投棄や不正に輸出するなど - 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこの併科
例)廃棄物の処理を処理基準に反した形で委託、不法投棄する「目的」で廃棄物を収集運搬など - 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
例)廃棄物管理票(マニフェスト)の未交付・虚偽記載など - 30万円以下の罰金
例)帳簿を備えていない・または虚偽の記載があるなど
注目しておきたいのは「廃棄物管理票(マニフェスト)の未交付・虚偽記載」で6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となることでしょうか。「マニフェストなくしちゃった。ま、いいか」とはいきませんので、廃棄物に関わる書類はしっかり保管しておくよう気をつけたいですね。
それでは今回はここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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