産業廃棄物業界に就職したばかりの新入社員の方や、総務課に配属になり廃棄物を担当することになった人に向けた廃棄物を理解するための情報サイトです

産業廃棄物の処理費用を抑えるための簡単な5つの方法

2016.08.16

費用削減|コストダウン

みなさんこんばんは。

工場の経営者の方はある程度産業廃棄物に対して理解のある方が多いですが、多くの方は産業廃棄物について考える機会があまりないのではないかと思います。

例えば新卒で企業に入社した最初の配属先が総務部だったような場合など、自社の製品や商品のことも分からない状態で廃棄物の処理関連の仕事をすることになったら…。

廃棄物業界に身を置いている者としてはちょっと心配になります。

せっかくですから、今回は産業廃棄物の処理費用を抑えるための簡単な5つの方法について紹介します。

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産業廃棄物の処理費用を抑えるための簡単な5つの方法

廃棄物の種類が複数ある場合は単品ごとに分別する

一般廃棄物とは?|発生場所が変わると産業廃棄物になる点も注目

工場などから出る産業廃棄物には様々な種類があります。例えばビニール、ポリタンクやポリバケツなどの廃プラスチック類や廃棄するコンテナなどの木くず、切削くずや金属部品などの金属くずです。

これらの廃棄物を一緒くたにして8㎥コンテナなどに入れている場合などは処分費用が高くなっている場合が多いので注意が必要です。確かにどうしても色々な廃棄物が出てしまうため分別する方が大変だということもありますが、大抵の場合は少し工夫すれば簡単に分別できる場合が多いです。そのため、廃棄物のコスト削減をするならまず分別ができるかどうか考えることが重要です。

でも、なぜ分別するだけで廃棄物の処分費用が安くなるのでしょうか?

廃棄物を種類毎に分別すると安くなる理由

廃棄物処理業者もよほどいいかげんな業者でない限り、廃棄物処分についての依頼があった場合は必ず現地まで赴き廃棄物の性状を確認します。そうしないと、回収の際に思わぬトラブルが起こってしまうことが多いのです。依頼する企業の方も、大企業であれば総務の専任の方だったりしますが、大抵は廃棄物の処分に関する業務を片手間でやっている総務の方です。小さい企業さんの場合は社長自らといった場合もあります。

こういった場合、相手は廃棄物に詳しいとは限らないので、お客様の言い分だけを信じて処分や運搬の依頼を受けてしまうと最悪赤字になってしまうようなこともあります。また、電話などでの依頼時には「ほとんどプラスチックだよ」などと聞いていても、実際に回収したら木くずばかりであったなどというパターンもないとは限らないので、現地で確認をするのが基本です。

現地で廃棄物の性状を確認する時には、回収場所や車を止める場所などの確認もしますが、一番重要なのは廃棄物の種類、混合割合、状態です。上で挙げた例の廃棄物が全て一緒くたに回収する場合は、軟質プラスチック、硬質プラスチック、木くず、金属くずがどの程度の割合で含まれているかを目算で出します。仮に4:3:2:1だったとしましょう。大体ですが軟質プラスチックは3000円/㎥程度、硬質プラスチックは6000円/㎥程度、木くずは8000円/㎥程度、金属くずは状態によっては有価買取が可能です。でも、これらの廃棄物を混合物として回収するとほとんどの場合は8000円/㎥で全て回収することになります。

なぜなら、廃棄物の発生は工場の稼働状態などにも左右されるため、今回たまたま4:3:2:1の割合になっている場合もあるからです。この仕組みを利用して現地確認の際には安くなりそうな廃棄物を多めに入れておいて、実際の回収時には高くなりそうな廃棄物を多く入れておくといったこともあり得るので、廃棄物処理業者は基本的に最悪の状況を考えて費用を算出しています。

なので、できる限り廃棄物は分別して個別に回収してもらった方が費用が安くなるのです。

運搬・処理を委託する廃棄物処理業者を見直す

比較|比べる|検討

廃棄物の収集運搬や処分の委託の際には必ず書面での契約が必要になります。この書面での契約は廃棄物の回収時には締結されていなければいけないので、現状すでに発生している廃棄物の処分に関しては、業者の変更が大変な手間になってしまうこともあります。そのため、廃棄物処理の業界ではなかなか新規で仕事を受けることが難しく、既存の業者さんが工場を増設したとか、既存の業者さんがスポットで1回だけ処分してほしい廃棄物の依頼があるとか、既存の業者さんからの依頼が多い業界にもなっています。しかし、この書面での契約が必要であるという廃棄物の法律面をいいように利用している業者もないとは言えないのが辛いところです。

頻繁に回収している廃棄物の場合などは廃棄物業者にとっても定期的に売上・利益が上がるありがたい案件なのですが、ライバルの業者に案件を取られにくいことをいいことに相場価格より高めの金額を提示していることもあり得る話です。

また、廃棄物の回収費用に関しては工場の生産品や工場ごとにも違ってくるオーダーメイドのように価格があってないようなものなので、価格が高いか安いか素人には判断しづらいというのも注意点です。

私が実際に業界で経験した案件で、5年ほど業者が提示した価格でやっていたけど、コスト削減のために相見積もりをしてみようと思ってこっそり呼ばれた業者さんの廃棄物費用が30%ほど削減されたという事例もあります。

こういった事例が1つでもあると、お客様からの信頼は0になってしまいます。私は運良くその業者さんの案件を全ていただくことができましたが、逆のパターンになってしまった先輩もいたので、何ともいたたまれない気持ちになったこともあります。

「昔からの付き合いだから」というのも大切なことだとは思いますが、ビジネスとして割り切って別の業者にも見積もりを依頼するというのも1つの方法です。

見積もりを取る際には必ず相見積もりにする
コンサルタントに依頼するのも○

見積書|相見積もり

基本的に廃棄物の案件は会社さんごと、工場ごとに違う唯一品です。なので、価格の比較が非常に難しく「こんなものか」と思って1社の見積もりで契約書の作成まで行ってしまうということもよくある話です。しかし、できるだけ廃棄物にかかる費用を抑えたいなら面倒でも2社以上には見積もりを取るようにしておいた方が無難です。

というのも、産業廃棄物処理業者にも得手不得手があるからです。例えば自社の水処理施設を持っている廃棄物処理業者は排水処理案件には非常に強いことが想像できると思います。でも、廃水処理の依頼を受けるのは主に工場なので、「このプラスチックも何とかできないかな?」とか「パレットを捨てることになっちゃってさ」などの依頼を受けないことがないとは限りません。というより、ほぼ確実にそういった事態は起こります。そんな時に「いや~、それうちの専門じゃないので」なんて言うのは商売として考えればあり得ない選択肢でしょう。

廃棄物の収集運搬や処分に関しては、実際に収集運搬や処分を行う業者間での契約締結が基本ではありますが、営業の代行が禁止されているわけではありません。そのため、自社が不得意な案件を依頼された時にはそれが得意な同業者に依頼して回収してもらうということも廃棄物処理業界では普通に行われていることです。

また、同じ種類の廃棄物でも施設によって得意とするものと不得意とするものがあったり、社内のノウハウの蓄積によっても変わってくることがあります。例えば廃油を回収して精製して再販売をしていた会社が廃棄物処理業者に転身したというのはよくある話なのですが、そういった企業の場合は1番得意とする廃棄物は廃油で、極端な場合だと廃酸や廃アルカリなどの廃水処理を苦手とすることもあります。

なので、本来であればそれぞれの廃棄物を得意とする業者に依頼するよううまく振り分けができるだけで、かなり廃棄物の処理費用を削減することができます。実際にそういったコンサルティング業務を行っている企業もあるぐらいです。

廃棄物処理業者も自分が得意な廃棄物はこれだなどとは公表していませんから、正直企業サイトを見たりするぐらいでは分かりません。処理施設の見学会などには積極的に参加して、廃棄物の処理が効率的に行われているかなどをよく見るぐらいしか対応がしづらいものですが、相見積もりを取るように心がけていれば自然と傾向が見えてくるようになります。

工場の設備を最新のものに更新する

工場|最新設備

こういったことを言ってしまうのは身も蓋もない話になってしまいそうですが、工場などの設備から出る廃棄物は工場の機械の質にも影響を受けます。廃棄物を減らす活動の3R「リデュース」「リユース」「リサイクル」ですが、最も効果の高い方法は「リデュース」つまり発生する廃棄物の量が少なくなるように精算工程を考えることです。

工場の設備を更新するとなるとそう簡単にはできないほどのコストがかかってくるのですが、最新の設備を利用すれば、それだけ発生する廃棄物が少なくなるような構造になっていたり、発生する廃棄物を分別しやすくなっていたりと、とにかく費用対効果が高まるようになっています。

年間の廃棄物処理コストも考えながら設備の更新も定期的に行っていけるようにするのが1番ですね。

 

自社処理施設を持つ

自社施設|水処理施設

メッキ工場などから排出される廃酸には六価クロムが含まれる廃液が多いです。私はメッキ工業の専門家ではないので、どういった工程から六価クロムが含有されるかは分かりませんが、六価クロムが一定濃度以上含まれる廃液は特別管理産業廃棄物となるのと、六価クロムは除去にコストがかかるので、場合によっては処分費用が100円/kg以上などというびっくりするほど高額になる場合もあります。

こういった場合には自社で処理施設を保有し、完全に下水放流できるレベルまでは処理できないまでも、特別管理産業廃棄物にならないレベルまで処理をしてから回収依頼をした方がコストとしては安くなる場合もあります。自社で処理施設を所有する場合だと、施設管理者の人件費や施設設置許可が必要になる場合などの法務部門の負担が考えらえますが、廃棄物の処理費用を全て丸投げする場合より安価になる可能性も高いので、一度検討しておきたい項目です。

ただし、本業への取り組みがおろそかになるぐらいなら、潔く廃棄物として処理を委託するのもいい判断だと思います。

 

それでは、今回はここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。

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