マニフェストとは?|産業廃棄物の収集運搬や処分を委託すると発行される管理票
みなさんこんばんは。
当サイトエコフリーの記事をご覧いただきありがとうございます。エコフリーは、産業廃棄物業界に就職したばかりの新入社員の方や、総務課に配属になり廃棄物を担当することになった人に向けた廃棄物を理解するための情報サイトです。
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さて、今回のテーマはマニフェストについてです。産業廃棄物の収集運搬や処理の実績を管理するため、マニフェストにはA・B・C・D・Eそれぞれの伝票があります。これらは5年間保管しておかなければならないものですし、産業廃棄物を回収する度に発行するものなので、しっかり廃棄物処理についての計画も立てないと書類ばかり増えてしまうことになります。
最近では紙ベースではなくデータ上で管理する電子マニフェストも発行できるようになっていますが、少々使い勝手が悪いため、現状では複写式の紙で発行するマニフェストが主流です。
廃棄物業界に勤めている者の一人として、産業廃棄物についてしっかりと理解してもらえるよう頑張ります。
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目次
マニフェストとは?|産業廃棄物の収集運搬や処分を委託すると発行される管理票
マニフェストとは?
産業廃棄物の収集運搬や処分には常に不法投棄や不正処理の問題がつきまとっていました。この不法投棄や不正処理を防止するために、産業廃棄物を排出する排出事業者が自身の廃棄物の処理について管理できるよう導入されたのがマニフェストです。
現在のマニフェストはB1票、B2票など数も7枚と多くなっていますが、基本は収集運搬、中間処理、最終処分の各工程がどの会社によってされているかを把握するためのものです。
産業廃棄物の最終処分が完了した際に排出事業者の元に残るマニフェストは、発行時のA票、収集運搬終了時のB票、中間処理終了時のD票、最終処分終了時のE票です。
マニフェストの流れ(1次マニフェスト)
- A票:排出事業者が廃棄物の収集運搬を委託する際に保管
- B票(B1・B2):収集運搬業者が廃棄物を中間処理業者に運搬したら保管(B1)、排出事業者(郵送などで対応)も保管(B2)
- C票(C1・C2):中間処理業者が該当の廃棄物を処理した内容を記載し保管(C1)、収集運搬業者(郵送などで対応)も保管(C2)
- D票:中間処理業者が該当の廃棄物を処理した内容が記載され排出事業者に返却(郵送などで対応)
- E票:中間処理業者から再度発行されるマニフェスト(2次マニフェスト)の最終処分E票の内容を転記して排出事業者に返却(郵送などで対応)
マニフェストの役割とは?
マニフェストは産業廃棄物の不正処理や不法投棄を防止するために作られたものです。特に建設系や食品系の廃棄物において、不正処理や不法投棄のニュースが後を絶ちません。
産業廃棄物の不正処理は排出事業者も、収集運搬業者も、処理業者も関係してきます。どの工程で起こったのかによっても容疑者が変わってくるものです。そのために、産業廃棄物の収集運搬から処分までの工程を紐づけることがマニフェストの存在意義になります。
マニフェストの種類について
マニフェストにはA~Eの伝票の違いの他にも、主に企業などの排出事業者が発行する1次マニフェストと、主に産業廃棄物中間処理業者などが排出事業者となって発行する2次マニフェストがあります。両者の違いを見てみましょう。
1次マニフェストについて
一般的に廃棄物のマニフェストと聞いて思い浮かべるものはこの1次マニフェストのことです。リデュース・リユース・リサイクルの3Rを徹底することが企業イメージの向上にも繋がる昨今、産業廃棄物のほとんど全てが何らかの中間処理を必要とします。
廃棄物の処理における3つの原則に「安全化」「安定化」「減量化」がありますが、これらの処理をしなければリユースやリサイクルはできません。最終的に埋め立てられる廃棄物の量を少なくするには廃棄物の中間処理は必須です。
代表的な中間処理施設に、焼却施設、水処理施設、破砕・選別施設があります。大抵の産業廃棄物は1度これらの中間処理を経てからリサイクルや埋め立て処分に移行します。そのため、産業廃棄物の中間処理施設からも産業廃棄物が排出されます。
直接埋め立て場に収集運搬される産業廃棄物は1次マニフェストのみで最終処分まで完了しますが、基本的には産業廃棄物の中間処理施設から排出される産業廃棄物がリサイクルや埋め立てなどの最終処分場まで運ばれます。この中間処理施設から発行されるマニフェストが2次マニフェストです。
2次マニフェストについて
2次マニフェストは主に産業廃棄物の中間処理施設が発行するマニフェストです。基本的に最終処分場へ収集運搬される廃棄物のマニフェストとなります。最終処分が完了したらE票が返却されるので、2次マニフェストのE票の内容を1次マニフェストのE票に転記して1次マニフェストに記載された排出事業者に返却しなくてはなりません。
なお、産業廃棄物処分の委託契約書には最終処分の処分方法も記載しておく必要があります。そのため、マニフェストE票の内容が委託契約書の内容と同じものになっているか確認をしておく必要があります。
また、中間処理という工程を挟んでいる以上、元の産業廃棄物を完全に追いかけることは困難です。
マニフェストの返却期限と保管期限について
マニフェストにはA票~E票までのそれぞれに対して返却までの期限が設定されています。
A票は発行時に排出事業者が控えとして取っておくものなので返却期限の設定はありません。
B票とD票には期限が設定されていますが、普通の産業廃棄物と、特別管理産業廃棄物では返却までの期限が違います。
普通の産業廃棄物はB票、D票共に90日以内ですが、特別管理産業廃棄物ではB票、D票共に60日以内に排出事業者への返却が規定されています。
最終処分のE票に関しては、普通産廃も特管物も一律180日以内の返却が規定されています。
E票が返却されるまでには1次マニフェストだけでなく、2次マニフェストの処分が完了する必要がありますから、どうしてもある程度の時間がかかってしまいます。しかし、マニフェストの返却が滞っている場合、排出事業者が都道府県知事への報告を行う必要があります。180日は約半年ですから、そんな昔のこと覚えていないと言いたいところですが、この報告を怠ったがために措置命令を受けたり罰金を支払うはめになるのは避けたいものだと思います。産業廃棄物は定期的に出てくるものですから、ルーチン業務にマニフェストの管理も加えておきたいところです。
さらに、マニフェストは5年間の保管義務があります。うっかり捨ててしまわないよう注意が必要です。
電子マニフェストについて
産業廃棄物の種類ごとや配車ごとにマニフェストを発行していると書類がどんどん増えてしまって大変です。だからと言ってマニフェストを辞めるという選択肢はないので、電子で管理できる電子マニフェストを導入している産業廃棄物処理業者や排出事業者もいます。
私も以前廃棄物処分業者に勤めていたことがあったのですが、電子マニフェストは若干利用しずらい面があるため、基本は紙のマニフェストを発行していました。
医療機関や一部の排出事業者さんのみでの利用となっていましたが、今では状況が変わっているかもしれません。
それでは今回はここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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