産業廃棄物業界に就職したばかりの新入社員の方や、総務課に配属になり廃棄物を担当することになった人に向けた廃棄物を理解するための情報サイトです

産業廃棄物の15条許可が関係する処理施設の能力について

2016.06.29

産業廃棄物とは?|産業廃棄物の定義と廃棄物の種類について

産業廃棄物の15条許可が関係する処理施設の能力について

産業廃棄物の処理施設に関して知っている人は産業廃棄物業界の関係者か企業の総務担当者で廃棄物の実務及び施設見学に参加した方だけだと思います。

以前の記事「15条許可について|産業廃棄物処理施設の設置に関わる許可」で説明した産業廃棄物の処理施設の各施設の能力について説明が必要な施設もあると考えたのでこのページで紹介します。

汚泥の脱水・乾燥施設について

汚泥は産業廃棄物の種類の1つにもなっていますが、かなり範囲の広い廃棄物のため多くの廃棄物が汚泥に分類されることになります。身近な例で言えば、飲食産業のグリーストラップ内に溜まる油や食品残さなどが固まったものも汚泥ですし、建設現場によくある砂や土をかき混ぜたものも汚泥です。

法律で厳密に決まっているわけではありませんが、食品残さなどの放置していると腐ってしまうような汚泥は有機性汚泥、砂や土など放っておいても腐らず性質も変化しない汚泥を無機汚泥と区別する産廃業者が多いです。

汚泥の脱水と聞いてもなかなかイメージが付きにくいと思いますが、大雑把に洗濯機の脱水機能を思い浮かべてもらえばいいと思います。洗濯機の脱水機能は遠心力で水分を飛ばすようになっていますが、産廃の汚泥の脱水機では「フィルタープレス」という方法を用いることが多いです。何層にも重なったフィルターに汚泥を流し込み、圧をかけることで、水はフィルターを通して脱水され、フィルター部分に汚泥だけ残るといった方式です。

汚泥を乾燥させる場合は燃料を燃やしたり、電気の熱を利用したり、ビニールハウスのような場所に保管して太陽熱で乾燥させる方式もあります。今では天日乾燥は基本的にNGとなっていますが、法律上はこの天日乾燥方式の場合のみ能力の規定が異なっています。

焼却施設について

焼却と聞いて一般的にイメージするのはたき火やキャンプファイヤーやかがり火といったものではないかと思います。これらのイメージのように一般的には裸火をイメージすることがほとんどですが、今ではダイオキシン問題などもあり、焼却施設には様々な携帯が出てきています。今の焼却施設では建物外部からは炎を見ることができず、肉眼では煙すら見えない施設が多くなっています。

中和施設について

小学校や中学校の理科の実験でやったことがあると思いますが、酸とアルカリの液体同士を混ぜてPHを中性にするのが中和処理で、その中和処理を行うのが中和施設です。理科の実験であれば酸とアルカリを混ぜて中和すれば終わりなのですが、産業廃棄物である廃酸や廃アルカリの場合は純粋な液体ではないため、中和時にガスが発生することや、液体に有害物質が含まれていることもあるので、素人が行うのは危険です。

また、特管物となるPH2以下の酸は火傷や炎症を起こす危険があり、素手では絶対に触ってはいけません。同様に特管物となるPH12.5以上の廃アルカリも火傷や炎症を起こす危険があり、目に入ると失明することもあります。私は実際に廃液の処理施設で働いた経験もありますが、酸よりアルカリの方が皮膚に浸透するのでより危機感を持って作業にあたる必要がありました。強酸の場合は痛みである程度気づける部分もありますが、アルカリの場合は危険な状態でも痛みを感じないことがあるので非常に危険な作業です。

なお、実際の産廃の中和施設で行っているのは中和だけでなく、凝集剤である硫酸鉄(硫酸第一鉄やポリ硫酸第二鉄など)を利用した水酸化物凝集沈殿法という、廃液を酸性にしてから凝集剤を添加し、溶液をアルカリ性にすることで不純物をフロック(汚泥)として分離する凝集沈殿処理も行っています。

中和処理は最終的な工程の一部で、廃液の処理には凝集沈殿処理が不可欠であると理解してもらった方がより正確です。

破砕施設について

破砕施設は廃棄物を細かく砕くための施設であり、二軸方式やハンマー方式があります。

二軸方式は歯車を二つ噛み合わせているところに廃棄物を突っ込むような方法を取ります。大きな鋼鉄製の歯車に廃棄物を入れれば、歯と歯の間で砕かれ、粉々になります。

ハンマー方式は文字通りハンマーで叩いて壊す方法ですが、太い軸に鋼鉄製の錘をいくつもぶら下げ、軸を回転させていくつものハンマーが回るようにしています。ここにコンクリートなどを入れれば叩き壊されます。

 

それでは今回はここまでです。最後までご覧いただきありがとうございました。

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